30年前、友人の影響で始めたハーブ栽培が、私の人生に色とりどりの香りをもたらしました。実家の庭には、ラベンダーやミント、ローズマリー、カモミールが育ち、季節ごとに美しい風景を作り上げてくれました。結婚して家を出た後も、実家の庭でハーブの手入れを続けていました。

ある年、裏庭一面に広がったカモミールが、白い花を風で揺らしながら甘い香りを漂わせました。こんなたくさんの花を独り占めしないで分け合おうと友人を花摘みに誘うと、彼女も「かわいい!」「素敵!」と笑顔で摘んでくれました。彼女だけでなく、次々に友達を連れてきてくれて、みんなが「また来たい」と口々に言ってくれたのです。自然と触れ合うことで、みんなが笑顔になり、私も心が温かくなるのを感じました。

仕事の合間を縫って訪れた三舟山のふもとの林。そこには20分ほどで登れる山頂があり、テーブルと椅子が佇む静かな場所がありました。ここでコーヒーを沸かし、お気に入りの本を読むのが私の至福の時間でした。仕事のストレスや人間関係の緊張も、三舟山の自然に触れることで癒されていきました。

そんな日々の中で、自然との深い繋がりが芽生え、やがて自然農を始めるきっかけとなりました。ある日、三舟山の地主さんに頼んで、耕作されていない段々畑をお借りし、カモミールを育て始めました。草刈りを繰り返し、くわで土を耕し、春になると一面に白い花が咲き、香りが風に乗って広がりました。訪れた人々が「いい香り」「きれい」と喜びながら花を摘んでいく姿は、私にとって何よりの喜びでした。

でも、私が本当に心惹かれるのは、花が咲いていない季節です。畑の草取りをして汗だくになった後、土の上に仰向けに寝転がると、草の間から青い空が見え、風が木々の葉を揺らす音が心地よく響きます。鳥たちが空高く飛び、太陽の光が葉っぱの間からキラキラとこぼれ落ちる。そんな自然の中に身を委ねると、自分自身が大地と一体になったような感覚に包まれます。

数年前から、この三舟山の里で自然農講座を開いています。自然農歴18年の達人、石田将来さんを招き、虫や草、野菜と共に育ち合う農法を学ぶ場を提供しています。草や虫と共存しながら野菜を育てるこの農法は、まるで人間社会そのもの。多様な生き物が共存し、バランスを保ちながら成長していく姿は、人々が互いを認め合い、支え合う社会の在り方を映し出しているようです。

この場所に訪れる人々は、花摘みを楽しむだけでなく、自然と共に成長する体験を通じて、自分自身を見つめ直し、心のバランスを取り戻していきます。私が受け取ってほしいのはハーブや野菜、米などの持ち帰れる収穫物だけはありません。自然と触れ合うことで、自分を癒し、リフレッシュし、再び歩み出す力を得る場所なのです。

三舟山のふもとで感じる風、聞こえる鳥のさえずり、水のせせらぎ。そして、カモミールの甘い香りに包まれながら、心をほどいていく時間。訪れた人々が「また来たい」と言ってくれるこの場所で、○○しなければいけにという縛りから解放された本当の自分に近づいていく。そしてその人たちが笑顔になり、帰ってあとも幸せが続いて行く。そんな場所がみふねであることを祈っています。

MIFUNEYAMA NO SATO 代表
杉本秀幸

MIFUYEYANA NO SATO 代表 杉本秀幸

30年間地域の商工会にて商工業者の支援に携り、現在は中小企業庁の外郭団体で中小企業支援機関の支援をしている。
鴨川市大山千枚田にて17年間田んぼオーナーとして棚田で米づくりに励む。
毎年何人もの友人と作業して米の味と自然から受け取る癒しを味わう。
三舟の里のだんだん畑でカモミールを栽培。
一緒に作業してくれた友だちも癒されメンタルも向上されることを実感する。
三舟の里で、カモミールの花摘み体験、自己肯定感向上のセミナー、アイリッシュハープコンサート、ライアーヒーリング、ホーリーバジル摘み体験、瞑想、昼寝、体操、ヨガなどのイベント企画運営をする。
現在は、無農薬・無肥料で土等自然のエネルギーをたくさん吸った自然農の野菜作り、米づくり講座を企画運営もしている。

退院後寝れなかった人が寝れるようになったり、病気で走れなかった犬が畑で走り出したり、不登校の子供がそばにいた大人とたくさん話したりして人が元気になっていく場面を体験。仕事でメンタルが弱まった人を畑に連れてくる友人もいる。

自然の中で植物を育てながら自然の調和を実感して、人も育ち合いをすることに喜びを感じている。

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